呼吸器内科とは
呼吸に関わる鼻やのど、気管、気管支、肺などに生じる病気を診療する科目です。当院は、内科の中でも特に呼吸器内科を得意とするクリニックです。咳や痰、息切れ、息苦しなど呼吸器の症状がある場合には、いつでもお気軽にご相談ください。
呼吸器内科で
対応する主な症状
- 咳が止まらない
- 咳が長引く(長引く咳)
- 痰が絡む
- 痰が切れない
- 息が苦しい(動悸・息切れ)
- 胸が痛い
- いびきが気になる
- 日中の眠気がひどい
- 風邪をひきやすい
- 風邪が治りづらい
- 咳で目覚める
- 眠れない
- ゼーゼー、ヒューヒューなどの呼吸音がする
- 喘息と言われたことがある
- 身内に喘息の人がいる
- 喉がイガイガ、ムズムズする
- 新型コロナウイルスに感染した後に咳が続く
- アレルギー体質である
- 胸部レントゲン検査で異常を指摘された
など
呼吸器内科で
対応する主な疾患
- 風邪
- インフルエンザ
- 新型コロナウイルス感染症
- 咽頭炎
- 気管支喘息
- 咳喘息
- 気胸
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
- 間質性肺炎
- 肺がん
- 睡眠時無呼吸症候群
- 気管支炎
- 肺炎
- マイコプラズマ肺炎
- 非結核性抗酸菌症
など
肺がん
肺の気管、気管支、肺胞の細胞が、何かしらの原因でがん化してしまう病気です。日本人の死因の第1位はがんですが、その中で肺がんによる死亡者数が最も多く、年間7万5千人以上となっています。早期の肺がんであれば、手術でがん細胞を全て取り除き、治癒することが期待できます。しかし、進行して広範囲に転移してしまうと手術で取り除くことは難しく、ほとんどの場合、肺がんと生涯付き合っていかなければなりません。このため、早期発見が大変重要です。
早期の肺がんはほとんど症状なく、発見が遅れやすいことが大きな課題です。そこでレントゲンやCTによる肺がん検診の定期的な受診が大切です。特に自営業者の方、主婦の方、会社を退職された方は、忙しい日常生活の中で定期健診を忘れてしまっていることが多いようです。1年に1回が目安となりますので、最後にいつ健診を受診したか、一度ご確認ください。
また、当院では病気の早期発見に特に力を入れており、低線量CTを使った肺がん検診も行っています。レントゲンでは肺の約1/3が心臓・骨・横隔膜に隠れてしまうため、これらの場所の病気を見逃しやすいというデメリットがあります。一方CTでは、肺全体を細かく評価することができ、肺がんの発見率はレントゲンの約10倍です。以下の方は特にメリットが大きいため、低線量CTによる検診をご検討ください。
- 50歳以上の方
- 喫煙される方、または過去に喫煙していた方
- 同居者に喫煙者がいる方
- 血縁者に肺がん患者さんがいる方
- 咳、痰、胸痛が続く方
睡眠時無呼吸症候群
空気の通り道が狭くなり、睡眠中に何回も呼吸が止まる病気です。 夜間の睡眠が不十分になることで、生活面では以下のデメリットがあります。
- 日中の眠気が生じ、勉強・仕事の効率が低下する。
- 車を運転する方では交通事故を起こすリスクが7倍上がる。
また、交感神経やホルモンバランスが崩れ、さまざまな病気のリスクが高まります。
- 糖尿病
- 高血圧
- 狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患
- 脳梗塞やくも膜下出血などの脳血管障害
- 脂質異常症
- 認知症
「睡眠時のいびきや、無呼吸を指摘されたことがある方」、「日中に眠気がある方」は、睡眠時無呼吸症候群の可能性が高いです。できるだけ早く当院にご相談ください。
気管支ぜんそく
アレルギーをはじめとする様々な要因によって、空気の通り道(気道)に炎症が続く病気です。皮膚に例えると、すり傷、肌荒れがずっと続いてしまった状態です。炎症が起きた気道は敏感になっており、ちょっとした刺激で咳が出たり、発作的に気道が狭くなって強い息苦しさが生じます。これが「ぜんそく発作」です。
気管支ぜんそくの診断は、「〇〇の検査が陽性だから喘息」という基準がありません。そこで、呼吸器専門医は以下のことを総合的に考えて診断します。
- 気管支ぜんそくに典型的な症状があるか。
⇒問診で確認。 - 気管支拡張薬を使うと、症状が改善するか。
⇒薬を使用してみて経過を確認。 - ご本人、ご家族がアレルギー体質か。
⇒問診、採血で確認。 - 気道に炎症が起きているか。
⇒呼吸機能の検査、FeNOで確認。 - 似た症状を起こす他の病気が隠れていないか。
⇒レントゲン、CT、採血などで確認。
治療の中心は、吸入ステロイド薬です。吸った薬剤は気道の粘膜に付着し、ぜんそく患者さんに生じている気道の炎症を効率的に抑えてくれます。なお、吸入薬はほとんど体内に吸収されないため、副作用が非常に少ない点も優れています。このため妊娠中の方でも使用可能です。重症度に合わせ、長時間作用性β2刺激薬(吸入)、抗ロイコトリエン受容体拮抗薬(内服)、長時間作用性抗コリン薬(吸入)、テオフィリン製剤(内服)なども併用します。
咳ぜんそく
気管支ぜんそくの一歩手前の状態です。咳ぜんそく患者さんの気道(空気の通り道)は、アレルギーなどによる炎症が生じています。炎症がおきた気道は敏感になっており、ちょっとした刺激で咳が出ます。気管支ぜんそくと違い、喘鳴(呼吸をするときにヒューヒュー・ゼーゼー音がする)や息苦しさはありません。
長引く咳の原因として最も多く、「風邪を引くたびに咳が長引く」という方は咳ぜんそくの可能性が高いです。
吸入ステロイド薬が治療の中心です。口から薬剤を吸い込み、薬が気道に直接到達し、その場で効果を発揮するため、患者さんに生じている気道の炎症を効率的に抑えてくれます。咳ぜんそくの患者さんは、放っておくと30-40%の方が気管支ぜんそくに移行します。気管支ぜんそくになると完全に治ることはなかなか難しく、多くの方は治療を長期間続けることになります。気管支ぜんそくに移行する確率を下げるため、しっかりと治療することが大切です。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)
従来、「慢性気管支炎」や「肺気腫」と呼ばれていた病気の総称です。COPDはタバコなどの有害物質の吸入によって、肺に炎症が起きて破壊されてしまう病気です。
咳や痰が長く続きますが、「風邪をひいた」「年齢のせい」と見過ごされていることも少なくありません。病気が進行すると、徐々に坂道や階段を上るときに息切れが生じるようになります。さらに進行すると着替えなどの簡単な動作でも息が切れるようになり、日常生活が送れなくなってしまいます。
よく健診で行われるレントゲンでは、早期のCOPDを発見することはできません。早期診断には呼吸機能検査が必要です。喫煙歴がある方、咳や痰が続く方、息切れがある方は呼吸器専門医への受診をご検討ください。
一度壊れてしまった肺は、残念ながらもとに戻りません。しかし、早く適切な治療を開始すれば、「つらい症状を軽くする」、「呼吸機能の低下を遅らせて、将来息苦しさに悩まされない生活を送れる」、といった効果が期待できます。
肺の炎症の原因であるタバコをやめることが治療の第一歩です。禁煙すると、その後の肺機能の低下速度はタバコを吸わない人とほぼ同じになることがわかっています。薬物治療では、気管支拡張薬と呼ばれる吸入薬が中心となります。狭くつぶれてしまった気管支を広げ、息切れを軽減します。また、痰を少なくする作用もあります。
肺炎
肺の中にウイルスや細菌が入り込んで感染し、炎症が起きた状態です。日本では肺炎(誤嚥性肺炎を除く)は死因の第5位を占めています。
ご高齢者では、肺炎に特徴的な症状(咳、痰、発熱、呼吸困難、胸痛など)が現れにくいため、受診のタイミングが遅れ、治療開始が遅れることが多くあります。また、持病がある方が肺炎になると重症化しやすい傾向にあります。特にご高齢の方、持病がある方は、「調子が悪いから風邪だろう」とご自身で決めつけず、早めに医療機関を受診して下さい。
治療では、細菌を退治するための抗生剤を使用します。症状、経過、年齢、持病などから感染した可能性の高い細菌を予想し、抗生剤を選びます。痰の培養検査で原因菌が特定できた場合には、その菌に最も有効と考えられる抗生物質に途中から変更します。咳や痰がなくなったからといって、自己判断で抗生剤をやめることは危険です。体内に残った細菌が増殖し、症状が悪化してしまいます。また、中途半端に抗生剤を使うと耐性菌が発生し、これまで効果があった抗生剤は効かなくなります。処方された薬は全部飲み切りましょう。
非結核性抗酸菌症
非結核性抗酸菌による感染症です。非結核性抗酸菌は結核と似た細菌ですが、結核菌と違い、人から人への感染は起こしません。私たちの生活環境に広く存在しているため、多くの方が日常生活の中で菌を吸い込んでいますが、以下の方の体内に定着しやすいと言われています。
- 肺の病気(COPD、間質性肺炎、結核後遺症など)を持つ方。
- 免疫力が低下する薬物治療(ステロイドやリウマチの薬など)をしている方。
- 中高年の女性
診断されてもすぐに治療を開始するわけではありません。治療しなくても無症状で進行しない方もいるからです。このため、症状の程度、病気の広がり、進行スピード、年齢、持病、患者さんの考え方、などを考慮して治療方針を決めていきます。
当院の呼吸器内科の特徴
呼吸器専門医
当院は呼吸器専門医が診療を行っています。呼吸器内科と聞くと、レントゲン写真を眺めたり、聴診器で胸の音を聞いたりして、肺炎や喘息の治療をしているイメージが強いかもしれません。もちろん、日々これらの診療も行っていますが、呼吸器内科が関わる病気は、内科の中でも特に広範囲にわたります。
- 感染症(ウイルスや細菌による肺炎)
- アレルギー(喘息や、アレルギーで生じる特殊な肺炎)
- 膠原病(リウマチなどの免疫異常がきっかけで生じる肺炎)
- がん(肺がん)
- 緊急処置が必要な病気(呼吸不全、気胸)
- 生活習慣に関わる病気(睡眠時無呼吸症候群、COPD、ニコチン依存症)
これらの幅広い領域を、呼吸器専門医でないドクターが正しく診療することは困難です。
気になる症状がある方から、他院で治療して良くならない方まで、当院までお気軽にご相談ください。
CT検査導入
CT検査とは、体の断面図を撮影する検査です。当院では、来院いただいた当日にCT撮影を行うことが可能です。CT検査はレントゲン写真よりも圧倒的に詳細な情報が得られるため、肺がんを始めとする病気の早期発見に大変有効です。
新型コロナウイルス感染症の後遺症に対応
新型コロナウイルス感染症は、呼吸の苦しさや咳など、後遺症が生じることがあります。これら後遺症は、現在も世界中で多くの方が悩まされています。
当院では、このようなコロナ後遺症でお悩みの方の治療も行っております。