喉がイガイガ・ムズムズするのはアレルギー!?
喉のかゆみやイガイガ・ムズムズはアレルギー性疾患(咳喘息、アトピー咳嗽、アレルギー性鼻炎、喉頭アレルギーなど)の代表的な症状の一つです。
アレルギーの原因物質であるアレルゲンが呼吸によって口に入ると、喉の粘膜に付着して炎症を起こし、結果として喉の違和感がでます。また、我々は普段から意識せずに1〜6Lの鼻水を飲み込んでいますが、アレルギーによって鼻水が増えると、喉の奥にたまって違和感を感じます。鼻づまりが起こった場合には、口呼吸になることで口の中が乾き、喉の神経が過敏になって違和感が現れます。
日本人の約50%は何かしらのアレルギーを持っていると報告されています。アレルギー性疾患は私たちにとって日常的なものであり、喉の違和感を抱えている方は大変多いです。
喘息で喉がイガイガ・ムズムズすることもある
喘息患者さんの中には、喘鳴(ゼーゼー・ヒューヒュー音がして息が苦しい)がほとんど現れず、喉の違和感や咳が目立つ方もいます。このような方は呼吸器内科を受診しない場合が多く、診断と治療開始が遅れやすいので注意が必要です。
喘息は空気の通り道にずっと炎症が続いている病気です。早めに治療を開始すれば、ほとんど症状に困らず生活を送ることができるようになりました。しかし治療せずに放置していると、気道の壁が分厚く変形し、治療が効きづらくなります。また、壁が分厚くなって内腔が狭くなった気道はもとに戻らないため、進行すると常に咳や息苦しさを感じるようになってしまいます。
喉がイガイガ・ムズムズから考えられる病気
喉の違和感を引き起こす原因は、アレルギー性疾患や喘息以外にも様々なものがあります。
喫煙者の場合、タバコが原因の可能性があります。タバコの有毒ガスが喉の炎症を引き起こすためです。禁煙しましょう。難しい場合には、禁煙外来の受診をお勧めします。
慢性の咽頭炎・扁桃炎、咽頭腫瘍など、喉自体に異常があるケースがあります。このような病気が疑われる場合、喉頭ファイバーで直接喉の奥を観察する必要があります。当院では実施できない検査のため、信頼できる耳鼻科の先生を紹介いたします。
喉の症状と一見関係がなさそうな、貧血や甲状腺が原因の可能性もあります。貧血が続くと、食道の粘膜が萎縮して狭くなるため、喉の違和感が生じます。特に女性は月経による貧血が生じやすいため、血液検査を考慮します。また、甲状腺は首の前方にある臓器で、甲状腺が腫れると喉を圧迫して違和感が出ます。CTで形状を観察したり、血液検査で甲状腺ホルモンの数値を評価します。
逆流性食道炎も原因の一つです。胃酸が胃から食道に逆流することで、胸焼けなどの症状が出る病気です。食道の粘膜が傷つくことで、のどの違和感、つかえ感を引き起こします。また、胃酸が食道や喉にある神経を刺激することで咳が出ます(食事や姿勢の変化で悪化する傾向があります)。胃酸分泌を抑える薬を使用して治療します。薬で改善がない場合には、食道がんなどの悪性腫瘍が隠れていないか確認するため、内視鏡検査を受けましょう。
以上のような病気がなかった場合、加齢や精神的なものと考えられます。年齢を重ねるごとに唾液や喉の分泌液は減少し、喉の粘膜が乾燥しがちです。この結果、喉のかゆみや違和感が引き起こされます。また、ストレスなど精神的な要因によって、自律神経のバランスが乱れ、症状が出ていることもあります。このような場合には、生活習慣の改善(十分な睡眠、運動、バランスの取れた食事、気分転換)や、抗不安薬・漢方薬などで対応していきます。
喉がイガイガ・ムズムズするときの対処法
喉の炎症を和らげる
- 喉飴で喉を潤す
- 殺菌・抗炎症成分のトローチ・うがい薬・喉スプレーなどを利用する
喉への刺激を避ける
- 飲酒を控える
- 喫煙を控える(禁煙する)
- 辛い・熱い食べ物を控える
- 大きな声を出さない
喉の乾燥を防ぐ
- マスクを着用する
- 部屋を加湿する
- 水分補給・うがいをこまめに行う
喉がイガイガ・ムズムズするときにおすすめの飲み物
喉の違和感に対し、ハチミツ、生姜、緑茶、大根おろしといった抗菌作用・抗炎症作用がある飲み物が良いと言われていますが、医学的にはっきりしたデータはほとんどないのが現状です。ただし、ハチミツに関しては、使用した患者さん・使用しなかった患者さんを比較し、咽の違和感が解消するまでの期間を短縮したという報告があり、対症療法としてお勧めです(1歳未満のお子さんにはボツリヌス症を引き起こす可能性があるため、与えないでください)。
逆に、炭酸飲料、アルコール、柑橘類、香辛料を多く使った料理は、喉の粘膜への刺激が強いため控えましょう。また、ウーロン茶は喉の保湿に必要な油分を流してしまうため、喉が乾いて違和感が強くなる可能性があります。
喉がイガイガ・ムズムズするときは何科を受診すればいい?
上記の通り、喉のイガイガ感・ムズムズ感を引き起こす原因には様々なものがあります。
喉の違和感が唯一の症状の場合、まずは耳鼻科を受診しましょう。喉頭ファイバーで喉の奥をしっかり観察することが診断につながる可能性が高いからです。胸焼けや呑酸(喉や口の中が酸っぱいと感じる症状)、胃痛などを伴う場合には、消化器内科がお勧めです。食道や胃の観察が有効と思われ、必要があればすぐに内視鏡検査を受けられます。
また、咳、痰、呼吸困難感を伴う場合には、呼吸器内科がお勧めです。喘息、アトピー咳嗽、後鼻漏などのアレルギー疾患の関与が疑われ、呼吸器専門医がもっとも得意とする検査・治療だからです。
診療科ごとの特徴について説明してきましたが、患者さんによって症状は少しずつ異なり、どこに受診すべきかやはり迷ってしまう方も多いと思います。お気軽に当院にご相談ください。呼吸器・アレルギーの専門家として診療させていただくのはもちろんですが、必要があれば、信頼できる耳鼻科や消化器内科の先生を紹介いたします。